Column
2026/04/18 10:15

5日目・6日目。
パーツにおもりと綿を詰め、
閉じきる前に計量します。
片手の重さは、約200gから250g。
左右の感覚がそろうように、
わずかな差を整えていきます。
かたちが見えてきましたよ、と
心の中でお伝えしています。
7日目。
胴に、頭と手足をつなぎます。
専用のボードとボルトで、ひとつに。
締め具合で、動きやすさが変わるため、
左右を確かめながら、静かに締めていきます。
お客様のことを思いながら、
綿とおもりと、想いも一緒に詰めていきます。
背中は、少しだけ開けたまま。
これで、座ることができました。
8日目。
耳の位置を決め、仮止めします。
完成した表情を思い描きながら、
目の位置を探していきます。

定規ではなく、
じっと見つめる時間の中で、
「ここだ」という場所が見えてきます。
目打ちで穴を開ける瞬間、
毎回、少しだけ目を細めてしまいます。
長い針に糸を通し、
首の後ろから目の位置へ。
グラスアイのワイヤーに糸をかけ、
もう一度、首の後ろへ引き戻します。
にっこりとしたやさしい目を思い描きながら、
最も美しい引き具合で留めます。
とても緊張する工程です。
ふぅ、とひと息。
すぐに次へ進みたくなる気持ちを抑え、
その緊張とわくわくを抱えたまま、
丁寧に進めていきます。
その日は、ここで終わりにします。
9日目。
鼻の刺繍を思い、
少しわくわくした気持ちで朝を迎えます。
いよいよ、と。
刺繍糸にワックスをなじませ、
ふっくらとした鼻をつくっていきます。
針の通り道を意識しながら、
ひと目、ひと目。
糸をゆっくり引くたびに、
隣り合う糸がぴたりと揃い、
かたちが整っていきます。
よく見ると、
縦にも横にも、美しく並んでいます。
半日以上をかけて、縫い上げます。
糸を切る瞬間、
ふぅ、と大きく息を吐きます。
鼻ができたら、鼻下の長さを決めます。
少し眺めて、
表情を思い描く時間。
ほんのわずかな違いで、
おとなしい雰囲気にも、
元気な雰囲気にも変わります。
Hug Beallyの表情は、
少しおとなしめで、
甘えんぼにも見えるやさしさを。
できた、
もう一度、大きく息を吐きます。
10日目。
一晩おくことで、
新しい気持ちで表情と向き合います。
納得できなければ、やり直します。
少しずつ、表情がなじみ、
ほっぺがやわらかく整っていきます。
いいね、かわいいね、と
そっと声をかけながら。
目や鼻まわりのモヘアを整え、
表情を仕上げていきます。
光を遮らないよう、
一本一本に気を配って。
全体をブラシで整え、
体重を最終確認し、背中を閉じます。
最後の糸を切るとき、
安堵と、
お待たせしました、という想いを込めて。
ようやく、完成です。
